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Ryzen 3 3200Gは動画再生マシンにも最適!Fluid Motionを試す

AMDの強み

AMDは自社で強力なインテルアーキテクチャのCPUと独自構成の本格的なGPUを同時に設計出来る他にあまり例がないメーカーです。

GPUでの競合となるNVIDIAはインテルアーキテクチャのCPU製造技術を持っていません。一時期Armアーキテクチャの独自CPUに手を出しましたが今はそちらもほぼ撤退状態。

CPUでの競合のインテルはGPU側の技術がまだ弱く、比較的高性能のGPUでもあくまで統合GPUにまとめられる規模程度が限界です。今、新アーキテクチャ、Xeで独立GPUやHPC用途向けのGPU開発を急ピッチで進めていますが、今時点ではまだ具体的な製品の姿は見えません。

それに対してAMDはCPU、GPUの両方をかなり高度なレベルで両立できる技術力があります。CPU自体、GPU自体は一時期競合他社にかなり後れを取る状況が続きましたが、今はそれもかなり解消して統合のレベル自体がとても高い水準になりました。

そういった「新AMD」の現状を具現化したチップの一つがRyzen 3 3200Gだと思います。

高いCPU性能とかつてのエントリークラスのGPUを駆逐する統合GPU性能。さらに今回チェックする独自の動画再生支援機能「Fluid Motion」で競合他社にはない独自の付加価値を実現できます。

Fluid Motionは現在ある様々な動画再生環境の中でも最強クラスの能力を発揮する唯一無二のギミックです。

Fluid Motionにトライするのに必要なもの

AMD独自の動画再生フィーチャーであるFluid Motion、これを実現するために必要になるのはこの機能をサポートするGPUと対応動画再生ソフトです。

最近のメジャーなBlu-rayディスクの再生ソフトはFluid Motionをサポートしていますが、それらのソフトは基本有償の製品です。

ただわずかに手間は増えますが無料のソフトだけで「ぬるぬる動く動画」を楽しむことができる、Fluid Motionを有効活用する環境を作り上げることも可能です。

今回はこちらの無償で実行できる方法を採用します。

このために必要になるソフトは2つ。1つはフリーで極めて高度な機能も利用できる上に使いやすい動画再生ソフト「Media Player Classic Home Cinema」です。

これともう一つ「Bluesky Frame Rate Converter」を使うことでFluid Motionを活用した動画再生支援機能をフルに利用することが可能になります。

Ryzen 3 3200G+Bluesky Frame Rate ConverterでのFluid Motion

では実際にMedia Player Classic Home CinemaでFluid Motionを使った滑らかな動画再生を実現するための設定などの実際をまとめます。

環境設定

まずはFluid Motionを使った動画再生環境の構成方法から。

Media Player Classic Home Cinemaをこちらのサイトからダウンロードしてインストールします。

次にこちらのサイトからBluesky Frame Rate Converterをダウンロードしてインストールしましょう。

ここまでは特に何も特別な設定などは必要なく普通に導入できると思います。

続いてBluesky Frame Rate ConverterでFluid Motionの機能を有効化、利用できるように設定を変更します。

Bluesky Frame Rate Converterを起動したら

「品質」の中の「AFMモード」を自動から「モード1」に切り替えます。Ryzen 3 3200Gの統合GPUであるRadeon Vega 8を使ってFluid Motionを使うときには、自動の設定では有効化できないケースがあるからです。

自動のままでも「レート変換」の枠の中の24p 30pのチェックボックスが有効になっているときは設定を変える必要はありません。

次に「レート変換」の枠の中の24p、30pのチェックボックスにチェックを入れます。

続いてMedia Player Classic Home Cinemaの設定を一つ変更します。

「表示」メニューの「オプション」から「外部フィルタ」を選択。

そこでBluesky Frame Rate Converterを選択するだけでこちらの設定は完了です。

再生

Fluid Motionでは映画やアニメーションで使われる毎秒24コマ(24p)の動画や、デジカメで撮影したような毎秒30コマ(30p)の動画を毎秒60コマ表示にアップコンバートします。

動画の1コマ1コマから演算を行なって間を補完する画像をリアルタイムで作り出して穴を埋めていきます。

このため画面をパンしたりするシーンや、映画の字幕のスクロールなどが極めて滑らかに表示されるようになります。

特に24pの動画からのアップコンバートでは効果が覿面に現れるようになります。

きちんとした動画の補完をせずに24p動画を無理矢理パソコンの画面の毎秒60コマ表示にあわせると、同じコマが2回表示されるところと3回表示されるものができてしまいますので、スクロールなどが同じ速度で流れていかず動きがとても不自然になってしまうのです。

Fluid Motionはこれをほぼ完全に補正することが出来ます。

実際、その違いは見た瞬間に分るぐらいの強力さがあります。

ただしアニメで動きが激しいシーンなどでは補完の効果はかなり分りにくくなります。

補間のミスで変なものを描画してしまう可能性はゼロではありませんがFluid Motionでは通常それに気づくことはほとんどなく、このタイプの動画再生のギミックとして最上級レベルの機能といえます。しかも比較的新しいRadeon系のGPUがあれば追加投資はほぼ必要ありません。

Media Player Classic Home Cinemaでは「表示」メニューから「統計情報」にチェックを付けると動画再生の枠の外側にフレームレートなどの数字を表示させることが出来ます。

こちらを使うと実際に動画が60pにアップコンバート出来ていることが確認できます。

ちょっと面白いこと?

今のWindows 10タスクマネージャーではCPUだけでなくGPUの稼働状況も確認することができます。

この機能を使ってFluid Motion実行中のRadeon Vega 8 GPUの負荷を見てみるとちょっと面白いことが分りました。フルHDのある動画を再生中には動画再生支援エンジン(Video Decode)は負荷がかからず、なぜか動画のエンコードエンジン(Video Encode)の方が稼働しているようなのです。

アップコンバートの際に新しいRadeon GPUが搭載している動画エンコードのハードウェア回路を活用することで、CPUに無駄な負荷をかけずに動画の高画質化を実行しているようです。

なかなかに考えられた上手いやり方だと思いました。

ちなみにRadeon RX570だとFluid Motion動作中にVideo Encodeエンジンは稼働していないようで、Fluid Motion処理はポリゴン処理の3D演算ユニットを使っているようです。

まとめ。何もあきらめる必要がない動画再生マシン

AMDの統合GPU搭載のCPU、AMDが言うところのAPUでは、前の世代のCPUを搭載したA10やA6などのシリーズでもFluid Motionを使える製品がありました。

ですが、このシリーズのAPUはCPU側の性能がインテル製品よりもかなり劣っていたため、実用上はあまり問題はないもののCPU性能は我慢する必要がある製品でした。

ですがRyzenシリーズは違います。

インテルの最新のCoreプロセッサに全く引けを取らないCPU性能と統合GPUとしては高いGPU性能。さらに今回取り上げたAMDのGPU独自の動画再生支援機能Fluid Motionもあります。

色々な利用目的を何もあきらめる必要なく、幅広く活用が出来るのがRyzen 3 3200Gと言えます。

しかもCPU自体は1万3千円程度とかなりお手頃価格ですから、安価にとてもそつなく対応できるオールマイティに近いマシンを組めるCPUだと言えると思います。

動画再生マシンにも、それ以外の汎用PCにも自信を持って進められるCPUであることを再確認しました。