唯一無二の機能
今時点でRadeon RX570は元々の言葉通りの意味でコストパフォーマンスが最強クラスになるビデオカードの一つです。現時点のエントリークラスのビデオカード+αのお値段でミドルクラスに迫る性能をゲットできます。
統合GPUから性能のアップグレードを図るときにも最適なパスの一つになってくれます。
ここのサイトでずっとKenu氏と相談しつつアップグレードを続けているマシン、先日このコスパの良さから遂に外部GPUとしてRadeon RX570を載せるところまでやって来ました。
で、せっかくのRadeonシリーズなのだから「あの」機能を試さない手はない、ということで今回そのRadeonシリーズならではのすごく強力な機能を動かしてみます。
ユーザーのパソコンの使い方によっては、この機能だけでもRadeonシリーズを選択する価値が十分以上にあるものすごく強力な機能です。
それは動画のフレーム補間を行なってほとんどの動画をヌルヌル動く毎秒60コマの動画に変換してくれる機能、「Fluid Motion」です。
映画やアニメはだいたい24コマ/秒
Radeonシリーズが持つ唯一無二と言ってもいい動画のフレームレートのアップコンバート機能のFluid Motionですが、なせにこの機能がすごく有用なのかということを少し文字を使ってまとめてみます。
コンピュータの世界では大体画面の更新レートは毎秒30コマとか60コマとか、30コマ単位の数字になっていることが多いです。今あるほとんどのパソコンでは通常は毎秒60コマの描画が行なわれています。
これに対して映画やアニメなどはフィルム時代の慣例もあってか、制作工程がデジタル化された今でも毎秒24コマのフレームレートで制作されることが多くなっています。
家庭用の薄型テレビもパソコン用モニタも基本毎秒60コマの描画で動いていますので、実は映画などの毎秒24コマの動画とはあまり相性がよろしくありません。
多くのコマは2回ずつ表示され一部のコマが3回表示されるような不均等な表示のされ方になりますので、動きがどうしても不自然になります。特にスタッフロールなどのスクロールではカクツキが目につきやすくなります。
これを補間して滑らかな動画に変えてくれるのがFluid Motionの機能です。
自動でハードウェアによる補間処理が行なわれますので、一度設定すればユーザーは何も気にせず滑らかな動画が見られるようになります。CPUやGPUの負荷もほとんど上がりませんし、消費電力にも大きな差が出ません。
ただ、100%完璧な補完が行なわれるわけではなく、ごくごく一部で補間が破綻することもあるのはあります。が、ほとんどすべてのシーンで非常に自然かつ滑らかな動画再生が出来る優れものです。
導入方法
ブルーレイディスクの再生ソフトなど、一部の商用ソフトにはFluid Motionをサポートして自動でアップコンバートを行ないながら再生を行なってくれるソフトもあります。
が、これらは基本有償のソフトです。
これに対し、有志が開発してくださった2つのフリーソフトを利用することで、無償でもFluid Motionによる「ヌルヌル」動く動画を視聴することが出来る環境を作ることができます。
まず一つ目としてFluid Motionを多くの動画再生ソフトから利用するための基盤となるソフト、「Bluesky Frame Rate Converter」をインストールします。
こちらのサイト(https://bluesky23.yukishigure.com/BlueskyFRC.html)からBluesky Frame Rate Converterを導入。インストールするだけでOKです。

続いて動画再生用のアプリにはこの手のソフトの定番中の定番、「Media Player Classic Home Cinema」を使います。こちらは動画再生時の「フィルター」を自由に選択出来るようになっていて、ここからBluesky Frame Rate Converterを使う設定をします。
こちらもホームページ(https://mpc-hc.org)からソフトをインストール。その後、「表示」メニューにある「オプション」コマンドから「外部フィルタ」を選択。
「フィルタの追加」機能でBluesky Frame Rate Converterを選択すればOKです。

最後に「Radeon設定」のビデオ->カスタムから、AMD Fluid Motion VideoをONにして設定は終了です。

あとはMPC-HCで動画を再生すれば、毎秒30コマや24コマの動画が自動的に毎秒60コマの滑らかな動画に変換されながら再生されます。
ヌルヌル
Fluid Motionの機能を使って毎秒60コマで再生される動画を見たときの感覚はやっぱりこの言葉以外に上手く表現できる単語がなくって、まさに「ヌルヌル」動くすごく滑らかな表示になります。

最も効果が高く感じられるのは3D CGを活用して作られたアニメーション作品。ほぼ100%完璧にフレーム補間が働き、感動的なぐらいに滑らかに動いてくれるようになります。
普通のアニメでもスタッフロールやカメラのパーンを表現するシーンなど、背景がスクロールするような描画では超強力な威力を発揮します。恐ろしく滑らかに動いてくれます。
その代わり動きが激しいシーンなどではほぼ補間の効果は感じられなくなります。ただ、ほとんどのシーンで破綻はほとんど出ませんので、Fluid Motionの有効化で画質が悪化することを感じることはかなりまれでしょう。
残念ながらブラウザは動画再生のフィルタの追加などには対応していませんので、多くのネット動画ではFluid Motionの恩恵にあずかることは出来ません。
ですが実はMPC-HCはYouTubeのURLを認識してくれますので、YouTubeの動画は毎秒60コマの滑らかな表示での視聴が出来たりはします。
ネット動画をよく見るユーザーはこの機能は覚えておくといいかもしれません。
結論。映画、アニメをよく見るユーザーなら導入の価値あり
何故かRadeonシリーズのFluid MotionはAMD自体もあまり強くプロモートしていない機能です。でもその中身はすごく強力。恐らく動画のフレームレートのアップコンバート機能としては現時点での最強クラスのものだと思います。
一度これを使って毎秒60コマになった動画を見たら、この機能無しではやっていけなくなるぐらいのインパクトがありますね。
3Dグラフィックの絶対性能とかグラフィック処理のすごく高い電力効率を求めているユーザー以外なら、この機能目当てにRadeonシリーズのビデオカードの導入を検討する価値があるぐらいの機能だと思います。
また、新しい統合GPUコアを使っているAMDのAPUでもFluid Motionは利用できます。すごくコスパの高い動画再生マシンを組むことも出来るわけです。
RyzenシリーズならAPUでもCPU性能がかなりハイレベルになっていますから、そういった面とも合わせもっとFluid Motionが知られるようになってもいいんじゃないかと思います。
動画をよく見るユーザーならぜひ一度はAMDのAPU、GPUの導入を検討してもらいたいですね。