グラフィックカード

コスパ最強クラス。お手頃になったRadeon RX570を試す

コスパ最強

今回はより本格的なゲームにも対応できるようビデオカードを追加してみました。

チョイスしたのはRadeon RX570。

性能的にも消費電力的にも特別何かがあるビデオカードではないのですが、これを選んだのにも1つ強力な理由があります。

現在世に出ているビデオカード、独立GPUではNVIDIAのGeForceシリーズが上手くGPUのアーキテクチャをまとめて非常に効率の良い3Dグラフィクス処理を実現。絶対性能の高さと消費電力あたりの性能ではかなり優位に立っています。

AMDのRadeonシリーズは最新世代のRX5700シリーズでその差をかなり埋めて来ている、というのが現在のビデオカードを取り巻く大まかな流れです。

そういった中でなぜ今回取り上げたのが前の世代のRadeon RX570なのかといいますと、このカード本当の意味での「価格」性能比、コストパフォーマンスで考えたときに現時点での最強クラスと呼べる水準を実現しているからです。

ポジション的にはGeForce GTX 1060あたりと同じ性能レンジにある製品になると思われますが、その性能を1万5千円程度から入手が可能になっているのはなかなかに魅力的です。

一時期は仮想通貨のマイニング用に大量購入されたRadeon RX570の中古品が、マイニングバブル崩壊に合わせて大量に市場に出回りました。さすがに今はそういった状況はおさまったものの、新品であってもRadeon RX570のコスパの高さはまだまだ健在です。

ちなみにグラフィック処理の電力効率でGeForceシリーズに水をあけられているRadeonですが、こと汎用演算に使うことを考えると恐らく電力効率は逆転します。それが仮想通貨マイニングで大量に使用された理由の一つです。

ちなみにそちらの需要のピーク時には「映像出力端子を持たない」Radeon RX570搭載のビデオカード(?)も製造販売されました。

今のビデオカードではミドルクラスの性能

Radeon RX570の絶対性能は今のGPUを取り巻く環境ではミドルクラスのど真ん中かやや下ぐらいになるでしょうか。

それでも恐らく世にある3Dもののゲームの95%以上をフルHD解像度でプレイすることが出来ると思います。

ただ残りの一握りのゲームがとんでもなく突き抜けてしまっていて、そういったゲームをフルHDを超える高解像度の環境で快適に遊ぶためにはウルトラハイエンドのビデオカードが必要になります。Radeon RX570の守備範囲ではありません。

今のGPUを巡る事情だと、CPUに統合されたGPUの性能向上で本当の意味のエントリークラスのビデオカードが駆逐されたように、「普通の」ハイエンドクラスのビデオカードも存在感が薄れてきているのかもしれません。

今のゲームなどを含む使い方では、前の世代のRadeon RX570でもあってもかなり多くの使い途には十分以上の性能があってそれをかなりお手軽なお値段で実現可能、ということになります。

手配したのはMSIのARMORシリーズ

今回入手したRadeon RX570搭載のビデオカードはMSIのゲームを意識したタイプのもので、独自のツインファン採用の高性能ヒートシンクを採用したモデルです。VRAMはGDDR5を4GB搭載しています。

データレートは7,000MHz相当になっていて、GPUコアは1,268MHzまで少しだけオーバークロックされています。

ですが製品の仕様上TDPは150Wのまま。補助電源は8pin 1つで動作します。

外排気タイプのヒートシンクではありませんので、発熱が特別に大きなビデオカードではありませんが一応ケース内のエアフローは注意した方がいい環境もありそうです。

今回もAmazonで発注。
価格は14,899円でした。

組み込み

ここまでシリーズ的にあれこれ試してきているPCはかなり余裕のある大きなケースを使っていますので、大型のビデオカードでも全く問題なくインストールが出来ます。

内容積に余裕があってエアフローも十分ですので、排熱の問題もまず発生しないでしょう。

ただ、マザーボードのPCI Express x16スロットのポジションの関係から、たまたまシャシーファンのコントロール用コネクタ・ケーブルとビデオカードが重なる形になりました。

実際には配線用のケーブルがかなり柔軟なので全く問題なく組み込めていますが、一瞬ドキッとしました。

そしてフルモジュラーの電源ユニットに8pinのケーブルを追加で取り付けて配線。

以上で準備は完了です。
実際とても楽な作業でした。

Windows 10だとマイクロソフト側がビデオカードも含むほとんどすべての周辺機器のドライバを収集していて、ハードウェア追加時にもOS側が自動でドライバのインストールを行なってくれます。通常はユーザーが手動でドライバをインストールする必要がなくなっていてとても楽です。

が、ビデオカードのように常に最新の環境で使いたい、といったパーツでは、自らメーカーのサイトに行って最新ドライバを取ってきた方がいいでしょう。

今回著者もAMDのサイトから最新ドライバを持ってきています。

とりあえずベンチマーク

やはりせっかくの外部GPUですから3Dグラフィックのベンチマークを流してみないと。ということで3DMarkといつものドラクエXベンチを動かしてみました。

動作時に一応消費電力のチェックも行なってみています。

ビデオカードを追加したことで当然ながらアイドル時の消費電力も増えていて、統合GPUを使っている時よりも20Wほど消費が増えました。

それでもアイドル時は40W台の消費電力に収まっていますから十分に省エネです。

しかしPentium G5400はそれなりのゲームを動かしているときでも、外部GPUを載せたパソコンのアイドル時の消費電力に近いレベルで動いてしまっている、というのも見方を変えると結構衝撃的ですね。

さて余談はこれぐらいにして、3DMarkのTimeSpyのベンチマーク結果を見てみます。

純粋な描画性能を見るテストではそこそこの数字が出ていて、このカードの順当な性能になっていると思います。

3DMarkのほうが最新のハイエンドなグラフィックを使うゲームに負荷を近づけるため、年々どんどん重たい描画を行なうようになっています。なのでベンチマーク実行中はフレームレートが30fpsを割って画面はそれなりにカクカクはします。

が、実際にここまで3D CGで描き込んだ画面を持つゲームはかなり限られていますので、普通のゲームは問題なく動かせるでしょう。

ドラクエXぐらい画面構成の軽負荷のゲームでは全くもって問題なし。

HD解像度だけではなくフルHDで最高画質のテストも行ないましたが、このクラスのゲームならばRadeon RX570でもオーバスペックですね。

消費電力の方は3DMark実行時にはこれぐらい。

ドラクエXベンチ実行時の消費電力はこれよりもかなり小さくなっていますので、GPUの性能的にまだまだ余裕がある、と言うことの表れ思います。

ほぼ同じビデオカードを積んだメインマシンとも性能を比較してみました。

これはPentium G5400のPCI Expressインタフェースが2.0で、接続しているバスの転送速度が低くなっている影響が出るものかどうかを見てみたかったからです。

結果としてはちょっと意外でしたが性能差はほぼなし。ごされべるではありますが、むしろわずかにPentium G5400マシンの方が高いぐらいでした。

巨大なテクスチャデータをビデオカード側に頻繁に転送し直すなど、ちょっと特殊な動きをするゲームでない限りはPCI Expressバスがネックになって性能が極端に落ちる、というケースは起こらないのかもしれません。

3DMarkでのCPUテストに関しては素直にCPUの規模の差が出ています。Pentium G5400の2コア4スレッド動作に対し、比較に使ったマシンは6コア12スレッドCPUを使っていますので。

ここのスコアを稼ぐにはCPUのアップグレードが必要です。

最近の重量級ゲームの中には積極的にマルチスレッド処理を行なうようにしてCPU資源もガンガン使うタイトルが出てきていますので、遊ぶゲームによってはCPUの見直しも必要になります。

まとめ。必要十分な性能をお安く

Radeon RX570は今時点で3Dグラフィックのコストパフォーマンスを突き詰めたビデオカードの一つです。

期待通り十分な性能とリーズナブルなお値段での購入が出来ました。

消費電力の面でハンデはあるものの、今時点のエントリークラスのビデオカード+数千円の予算でミドルクラスのビデオカードの性能がゲットできるのはかなり魅力的です。

完全にグラフィクス処理に最適化した最新のGeForceシリーズよりも汎用演算に強く、レアな使い方だとは思いますがそちら方向のニーズにも上手くマッチするGPUだと思います。

お手軽な予算でグラフィック性能のアップグレードをしたいとき、いい選択肢の一つになってくれるでしょう。

ただ、消費電力は多めですので、電源ユニットの容量には注意したいところです。