はじめに

電源は一見地味ですがパソコンを安定して動かすための基盤となるとても大切なパーツです。
ここまでサイトオーナーのKenu氏といろいろ試しているマシン、電源は手元に余っていたかなり古い550W電源をそのまま使い続けてきました。一応問題なく動いてはいるのですが、電源の変換効率などはほとんど期待できません。80PLUSとかのレギュレーションが決まる前のモノのはずですから。
そこで今回は電源を最新の高効率なものにスイッチしてみました。サーマルテイクの「TOUGHPOWER GRAND RGB -650W」で、80PLUS Goldで650W出力のものです。
今回もモノはAmazonで発注。
価格は11,978円でした。
フルモジュラータイプ
今回チョイスした電源、サーマルテイクのTOUGHPOWER GRAND RGB -650Wは「フルモジュラータイプ」と呼ばれるフィーチャーの電源ユニットです。
これはすべての電源ケーブルを取り外すことができて必要なケーブルのみを繋いで配線することで、余分なケーブルが出来たりせずにケースの中をスッキリと仕上げやすい電源です。
実はこれ結構重要なファクターで見た目がスッキリキレイなだけでなく、ケース内のエアフローをしっかりと確保しやすくなって冷却面で有利になります。
まあ現実的には、メイン電源とCPUパワーのコネクタは基本必須のケーブルになりますから、この2系統は脱着不可でもあまり困ることはなかったりはします。ですが、特にメイン電源のケーブルは太く堅くて扱いにくいことが多いので、ケーブルを取り外せた方が配線の際の取り回しは楽ですね。
背面のコネクタはこんな感じになっています。

また、添付のケーブル類は十分な数が用意されていると思います。

そのケーブルをしまっておくための結構しっかりしたポーチ的なものがついてくるのにはちょっと驚きました。でもすごく助かりますね。

セミファンレス運用も可能
購入前の仕様確認の際にはあまり意識していなかったのですが、実はTOUGHPOWER GRAND RGB -650Wは「セミファンレス運用」も可能な電源でした。
これは低負荷時、発熱が低い状態の時、ファンを停止して完全無音動作を可能にする仕様です。
ただこの製品は無条件にそのように動くわけではなく、セミファンレス運用をするかどうかの切り替えスイッチがついています。(Smart Zero Fanのスイッチ)

最近の電源ユニットについているファンは通常の負荷の範囲内だとファンノイズがとても低く、組み立ててしまうと大体はケースファン側の音に紛れてほぼ聞えてきません。
また、電源のパーツも含め、多くの電装品の寿命は熱が影響します。ですのでセミファンレス動作は有効にせず、ファンが停止しないモードで動かしています。
LEDライトつき
この電源のちょっと面白いところは冷却用のファンの周囲に色を変えられるLEDの照明リングがついているところです。
さすがに自由な色合いを出すことは出来ませんが、プリセットの3色+色が順次変化していく設定と消灯を背面のスイッチで切り替えることが出来ます。
今使っているような内部が見えるケースだと、特に夜はちょっと楽しいですね。
消費電力削減に効果あり
最大出力が650Wある電源に対して今トライしているマシンのパーツは消費電力的にとても余裕がある組み合わせです。
実際に簡易版の消費電力測定ツールで見てみると、電源交換前でもアイドル時に29W、

ドラクエXベンチマーク実行時でも53Wしか電気を食っていませんでした。

元々かなり消費電力は少なかったので大きな差が出ることは期待していなかったのですが、電源を交換したあと目に見える形で結構大きく消費電力が減っていて驚きました。
アイドル時で24W、

アイドル時には15%の以上の消費電力削減になっていました。
最新の高効率電源でも最高の電力の変換効率を出せるのは出力が50%程度になるときで、それ以外の領域だとどうしても変換効率は低下します。古い電源の方は低負荷時にはもっと変換効率が悪くなっている可能性もありますが、それでも少ない消費電力のレベルでしっかりと違いが分るほど省エネになっているのは驚きました。
瞬間的な消費電力が小さくても長時間動き続ける製品の電気代って馬鹿になりません。パソコンを動かす時間が長いユーザーほど、効率の良い電源を使ってやれば電気代にもきちんと差が現れてくる可能性は高くなります。
今だとゴールド電源ぐらいまではあまりプレミアがつかない値段で手が届くようになりましたので、古い電源をそのまま使っているユーザーは新しい電源への買い換えを検討する価値が十分あると思います。
おまけ。80PLUSの種類
新しい電源には変換効率の目安を示す共通規格のグレードが付けられるようになっています。
最低ランクでも80%の変換効率を保証する規格になっていますので、そのグレードにも正確には「80PLUS スタンダード」の名前がついています。
この規格が生まれたときにはスタンダードからプラチナまでの5段階だったと思ったのですが、今はさらに上にチタンという規格・製品が存在しています。
日本で使う電源ユニット、入力がACの115Vの電源の場合、下のような変換効率が実現できるようになっています。
負荷率 20% 50% 100%
スタンダード 80% 80% 80%
ブロンズ 82% 85% 82%
シルバー 85% 88% 85%
ゴールド 87% 90% 87%
プラチナ 90% 92% 89%
チタン 92% 94% 90%
見た目上効率がたった10%違うだけ、と見えなくもないですが、600Wの電源の80PLUSスタンダードとゴールドで5割の出力、300Wを供給しているケースをちょっと考えてみましょう。
スタンダードだと外見えの消費電力は300/0.8=375Wになります。これに対してゴールドだと300/0.9=333Wになり、消費電力に40W以上の差が出来ます。結構大きいですよね。
あと変換出来なかった損失分は基本、熱になります。
高い温度はパーツの寿命にも影響を与えますし、温度が上がる分ファンの回転を上げて冷やさないといけませんから騒音にも影響する可能性が高くなります。
つまり電源の変換効率の高さは一石何鳥にもなるメリットばかりなんです。
結論。使い勝手良好・ルックスも良し
正直、今試しているような省電力なパソコンでこんなにはっきりと消費電力の差が目に見える形になるとは思っていませんでした。
これだったら省エネ目当てでも電源の交換の意味がしっかりあります。
ケーブルがフルモジュラータイプとなっているおかげでケーブルマネジメントも楽です。今回色々と試しているマシンのように最低限の周辺機器しか積んでいない場合には、ケースの中身がとてもスッキリ仕上げられます。
メインパワー、CPU用電源のケーブルの長さにもある程度余裕があるので、背面配線も問題なく行えました。
また、最近の電源らしく普通の負荷の範囲ならばファンがとても静かです。このためセミファンレス運用の必要性をほとんど感じませんが、それをチョイス出来る選択肢があるのはうれしいところ。
ファンの周りの電飾も色を変えられて魅せPCにもなかなか面白い電源です。