メモリ

定格電圧でOC動作するDDR4メモリG.SKILLのF4-2400C15D-8GNT

はじめに

サイトオーナーのKenu氏からパーツの提供を受けるカタチで、今のPC事情ではエントリークラスに当たるマシンを一台組んでみました。一連のレビューで使っているPCですね。その時にわたしが選んだメモリモジュールが今回レポートするG.SKILLのF4-2400C15D-8GNTです。

メーカーさんには大変申し訳ない物言いになってしまうのですが、実際にモノを探す際にはブランドネームから、とか言ったチョイスをした訳ではなかったりします。4GB 2枚組の合計8GBのセットで最低価格ラインの製品を探していたら、たまたまこの製品が該当したというパターン。

その製品がメインメモリモジュールのメーカーとして定評のあるG.SKILL製だったことに逆に驚いたぐらいです。そして、G.SKILL製メモリだったらハズレはないな、という安心感もあって迷わずカートに入れて購入手続きに進みました。

今回はDDR4 2400動作を可能にしたメモリモジュール、G.SKILLのF4-2400C15D-8GNTの使いごこちをレポートします。

スペック

メモリモジュールでスペック、と言っても書ける内容はとても限られてしまうのですが、一応、中身をまとめておきましょう。

製品としてはDDR4 2400メモリというカタチで販売されているメモリです。意味的には「2400MHz動作相当」のデータの転送速度が得られるメモリモジュール、と言うことになります。

メモリチップの実際の動作クロックはもっと低いんですが「DDR(Double Data Rate)」動作等々の工夫によって、初期のSDRタイプのメモリの数十倍以上のスピードでデータの読み出し/書き込みが行えるようになっています。

定番アプリの「CPU-Z」でメモリの情報を読んでみると、メモリチップ本来の仕様としてはDDR4 2133メモリのようです。標準で使われるメインメモリのスペックデータの「SPD」を元に動作させるとこちらのスペックで動きます。

DDR4 2400動作はG.SKILLがタイミング等々を詰めて、いわゆる「OC」動作を行なわせるものです。こちらのスペックでこのメモリを使うには「XMP」プロファイルの方を使うよう指示する必要があります。

OCメモリの中にはXMPプロファイルを使うときには動作電圧を上げる必要があるものもあるんですが、G.SKILL F4-2400C15D-8GNTはその必要はありません。定格の1.2VのままでキッチリDDR4 2400で動いてくれます。

消費電力と発熱の面でうれしい仕様になっています。

G.SKILL F4-2400C15D-8GNTはメモリチップがむき出しになっているヒートシンク無しのメモリモジュールなので、元々のチップの発熱自体が少ないってのはありがたいところです。

実際の発熱の様子も後で確認してみます。

搭載されているDRAMのチップは片面実装で8枚。

この辺りにシビアなシステムだと使われているチップの数などが問題になることもあるのですが、このモジュールならどのシステムでもまず大丈夫でしょう。

設置性

メモリモジュールを組み込む際に何か問題が生じるとしたら、CPUのヒートシンクの放熱用フィンとの物理的な干渉があります。

今回はインテル製のリテールクーラーを使用しているため、そもそもこの問題を考える必要はありません。放熱用の金属のフィンの外径も小さくファンも8cm径のもので、放熱用フィンがリテンション用の穴から大きくはみ出すことがないからですね。

逆にメモリモジュール側に大がかりなヒートシンクが付けられていたりすると、隣り合ったメモリモジュール同士、メモリモジュールとCPUヒートシンクの足の部分が干渉する可能性はあるかもしれません。

大型のヒートシンクを使うと今回のCPUならファンレス動作も狙えそうなのですが、その際にもCPUのヒートシンクとの干渉はミニマムで済むはず。メモリモジュール側のヒートシンクが省かれている分、その高さは最低限に収まっていますから。

この観点ではヒートシンク無しのこのメモリの形状が最も優れたカタチなのかもしれませんね。

DDR4 2400動作に設定変更

今回、マシンを組んでセットアップする中で、もしかしたら一番面倒だったかもしれないのがこの作業かも。UEFIの設定画面を起動してメモリの設定をSPDからXMPに切り替えるところです。

でもまあ実際にはこの設定もすごく単純で簡単。初めて自作にチャレンジするユーザーでも比較的すぐに設定を変えられると思います。

この程度の設定が一番面倒ということは、設定変更前後で何の問題もなくサクッと動きすぎちゃって他に面倒な作業が一切なかったってこと、の裏返しでもあったりします。

実際メインメモリの設定変更も電源投入後DELキーを適当なタイミングで押してUEFI設定画面を起動、メモリ関連の設定画面でXMPのプロファイルを選ぶだけでOKだからとても簡単でした。

あとは再起動するだけで問題なくメモリのタイミングの変更が出来ました。

メモリの帯域に関しては今は一般的にはCPU本体より統合GPUの要求が高いことが多くなっています。規模の大きめの統合GPUだとメモリの転送速度が足りなくなって性能が出きらないというのが普通の状況です。なので高速なメモリを使えば使うほど統合GPUの性能は引き出しやすくなります。

ですが今回使ったPentium G5400のシステムだと統合GPUが小規模なせいか、メモリをDDR4 2133設定からDDR4 2400に変更してもドラクエXベンチでは結果に有意な差が出ませんでした。

ただメモリ性能というのはCPU性能同様、パソコンシステムの性能を下支えする重要な要素です。今回チョイスしたG.SKILLのF4-2400C15D-8GNTのようにペナルティ無しで動作クロックを上げられるモジュールなら、出来るだけ上の設定を使った方がいいです。

DDR4 2400動作に設定を変更した後、メモリのチップに触って温度をみてみましたが特に温度が上がっている感じはありませんでした。室温のせいもありますがほんのり温かい、という状態にすらなっていません。DDR4 2400動作時にも定格の電圧1.2Vで動いていることが大きいのだと思います。

CINEBENCHを動かしたりしてマシンに負荷をかけても非常に安定して動いてくれているので、このままの設定で何も問題は起きないでしょう。

結論。お手頃マシンに最適&貴重な存在

実は今パソコン向けのパーツ市場では、メモリモジュールの世代が切り替わるタイミングの終盤を迎えているみたいです。1枚4GBのモジュールは既に非主流になっちゃっていて、8GBがすっかり主役。実際、購入の際に製品を探してもみても4GB x 2のセットがすごく少なくなっています。

なので、そこそこのビット単価で8GBの容量を実現してくれるG.SKILLのF4-2400C15D-8GNTのような製品はかなり貴重な存在になりつつあります。

最新のOSでも常時仮想マシンでも動かさない限りメインメモリは8GBで十分に余裕のある動作が出来ます。16GBならもっといいのはその通りですが少しお値段は上。予算を抑えたお手軽マシンを組もうと思ったら、4GB x 2でお手頃価格のメモリモジュールはとてもありがたい存在になっているわけです。

動作の安定性や発熱も全く問題がなくとても安価なG.SKILLのF4-2400C15D-8GNTは、今回マシンを組む目的にはぴったりのメモリセットでした。今、5万円の予算でエントリー機を新調しようと思ったら外せないパーツと言えそうですね。